ロケハン・排水口のある場所/2003年10月 [第8章 和歌山ロケハン篇]
看板通りからいうと、会津川を挟んでちょうど反対側。そこにあるのが、この3機の排水口。
ここは以前から目をつけていたところで、町で最も好きな場所の1つ。
錆び付いた巨大な排水口が何とも魅力的。土手と川の風景を相まって懐かしい感じが渦巻いている。まさに昭和40年代らしい場所。
この排水口は海が満ち潮のときには川の中に半分ほど沈む。引き潮のときは辺り一面が地上に出て、また別の風景を作り出す。そして・・。(つづく)
ロケハン・看板通り/2003年10月 [第8章 和歌山ロケハン篇]
昭和40年代を見つけた!
写真は古尾という町の通り。高山寺の階段から会津川沿いに海の方に5分ほど下って来たところの右側にある。
壁に貼付けられたホウロウの看板が懐かしい。良い感じに汚れ、めちゃめちゃおしゃれ!
この前を主人公の夏美たちが通学して行く。というシーンとかを撮ると、昭和40年代らしい絵になるだろう。
唯一、残念なのが、その中に由美かほるのアース渦巻きの看板と、水原弘のハイアースのものがないこと。
昔はあったけど、誰かが盗って鑑定団に持って行ったのかも?
ここを「看板通り」と名付ける・・・。(つづく)
ロケハン・昭和40年代を探す/2003年10月 [第8章 和歌山ロケハン篇]
「ストロベリーフィールズ」は昭和40年代を舞台にした物語。41年とか42年とか限定してはいないが、パソコンも携帯もない懐かし時代を設定している。
幸い田辺にはその時代の建物や風景がたくさんある。
というか・・田辺の町を生かすために、昭和40年代の物語にしたというのが本当のところ。
だが、その時代のものは今見ると、とても美しい。例え、古びて、傷だらけで、錆びたり、ひび割れたりしていても、暖かくて懐かしい感じがある。
僕がその時代に子供時代を過ごしたので、郷愁があるのか?と思ったが、その手の写真を若い子に見せても、「おしゃれ!」「カッコいい」と言う。
東京ではわざと汚いレトロな居酒屋やレストランがどんどん開店しているし、時代は昭和40年代に向いているのかもしれない。そんな場所を探した・・。(つづく)
ロケハン・高山寺/2003年10月 [第8章 和歌山ロケハン篇]
こんな大きく豪華なお寺が、田辺にあるなんて知らなかった。知人に聞くと「映画撮るなら、高山寺さんがええかも?」と教えてもらった。
変な表現だが、まるでユニバーサルスタジオ! 撮影に適したいろんな場所がある。まず、大きな二重の塔。立派な金堂。広大な境内。池。日本式の庭。長い石段。森、墓場。
ここだけでかなりなシーンが撮れるのではないか? 墓場にはあの南方熊楠や合気道の創設者である植芝盛平も眠るという。
「ストロベリー」の登場人物で鉄男という20代後半のキャラがいる。昔は不良で暴れていたが、今ではお寺で働きながら、子分たちの面倒をみているという存在。そのお寺を探していた。
当初は小さな個人のお寺を考えていたが、ここもかなりいい。候補の1つに加える。とにかく、町を歩き、ロケハンを続ける。(つづく)
ロケハンと予算の問題・2/2003年10月12日 [第8章 和歌山ロケハン篇]
また、晴れのシーンなのに、その日は雨とか。朝のシーンなのに現場に着いたのが夜とか。そんなこともある。
たぶん、行けるだろう・・と思いOKするが、撮影日に現地に来るとかなりイメージが違うということもある。
時間さえあれば、朝のシーンは朝。夕方のシーンは夕方。雨のシーンは雨の日に見にくることができる。が、そんなことをしたらロケハンに膨大な経費がかかり、本編の撮影の予算を削ることになる。
しかし、それらロケハンを僕が事前にやっておけば、問題なし! 製作部の仕事が減り、宿泊費や交通費。食費も削減。人件費もいらない。
数百万円以上の節約になる上に、通常の映画以上に慎重にロケ場所を選び、素晴らしい風景を見つけることができる!
だから、本日はロケハン!徹底して町を歩く!!!!(つづく)
ロケハンと予算の問題・1/2003年10月12日 [第8章 和歌山ロケハン篇]
時間がなくなってくると、ロケハンでもこんなことがある。例えば、予算がないので、2日で10カ所まわらなければならない。
すでに製作部が下見をし、ロケ地候補になった場所。3日あればじっくり回れるが、それだと宿泊費と食費が余計に出ていくので、2日間で終了せねばならない。
ところが移動の最中に交通渋滞に遭い、昼間に撮影するはずのロケ地に着いたのが夕方!ということもある。
昼間来れば奇麗な場所だが、夕方だとイメージが違う。でも、次に来るのは撮影のとき。監督は夕方の景色を見て、昼間を想像してOKを出す必要がある。
そんな判断をするのはメチャメチャ厳しい。ある種の賭けと同じだ・・・。(つづく)
早目のロケハン開始の意味?/2003年10月12日 [第8章 和歌山ロケハン篇]
しかし、なぜ、製作費も集まっていないこの段階でロケハンをするのか?
以前にも書いた通り。正式な製作決定を待ち、それから動いたのではやることが多過ぎて結局、十分な準備ができずに見切り発車することが多いからだ。
巨額の製作費があり1年以上の準備期間があれば別だが、通常の作品はドタバタでクランクインするのがほとんど。
通常、ロケハンは1〜2週間間ということが多い。(ヘタすると数日。2〜3日ということも)
もう、1週間あればもっとイメージに近い素敵な場所が見つかるのに、時間がないので、手頃なところで妥協する。なんてことがよくある。
それなら早めにロケハンをスタートさせておけば、よりよい場所を探せるはずだ。
そして、もうひとつ大きな利点がある!(つづく)
ロケハン経費の節約/2003年10月12日 [第8章 和歌山ロケハン篇]
ロケハンをする日数はなぜ限られるのか? それはお金と関係する。通常、ロケハンは製作部が先に現地に行って、撮影に相応しい場所を探す。
いくつも見た中からいいものを選んでおく。
次に監督とメインスタッフが現地を訪れる。製作部の案内で候補地を見る。その中でいいものを監督が選ぶ。
この際、まず製作部が現地まで行く交通費。滞在費。食費がかかる。Ⅰ週間もいればかなりな額になる。当然、彼らにはギャラが支払われる。
次にメインスタッフが行く時の交通費、滞在費、食費。ここまでの費用は撮影以前に必要なもの。これだけでも何百万もかかってしまう。
でも、僕が1人で町を歩きまわり、ロケ場所を探しておけば最終的にメインスタッフが現場を見にいくだけでOK。それも候補地ではなく、決定した場所を見るだけなので、時間も節約。
今回の作品はいかに低予算で早く撮るか?が課題。今からロケ地を見つけておけば経費と時間を削減。
その上に通常以上に月日をかけて、」映画に相応しい場所を見つけられるのである。(つづく)
ロケハンの注意点/2003年10月12日 [第8章 和歌山ロケハン篇]
映画は単にドラマが感動的なだけでなく、その背景となる場所も感動的な場所でなくてはならない。美しい風景や感動的な景色がよりドラマティクにするのである。
単にキレイなだけでなく、味わいがある。深みがある。悲しみがある。人生が感じられると、物語に合わせた要素が必要なのだ。
また、見た目は美しくても、カメラで撮るとさほではないこともある。
旅行に行ったとき、雄大な景色を見て感動。それを写真に撮る。が、帰ってから見ると、さほでもないことがたまにある。カメラと人の目では見え方が違うからだ。
逆に、目で見て大したことのない風景も、カメラを通すとドラマティックな絵になることも多い。
その辺を考えながら、ロケ場所を探すことが大事なのだ・・・。そう言った視点で街を歩いた。(つづく)
ロケハンって何だ?/2003年10月12日 [第8章 和歌山ロケハン篇]
まずは、お世話になっている会長にご挨拶。東京での状況を報告。今回お訪ねする方々を確認。
いろいろとご意見、ご指導を頂く。先方の予定を聞いて、スケジュールを立てる。
訪問は明日からなので、本日はロケハン。ロケハンというのは和製英語で「ロケーション・ハンティング」の略。映画で撮影する場所を探すことを言う。
ロケ場所は第2の主役。絵になる素敵な場所を見つけなければならない。その作業を本日は行う。(つづく)