梅干の勉強(1)いろんな梅干! 2005/9/4 [第十一章 ロケ地・田辺市篇]
梅干といっても、いろんな種類がある。今回、「ストロベリーフィールズ」を応援してくれている田辺の中田食品さん。その商品で例を上げる。
スタンダードタイプの「田舎漬」
「はちみつ味」
「うす塩」
かつおが入った「梅かつお」
昔ながらの塩だけで、付けた伝統の味「本漬け」
明太子をまぶした「梅明太子」
実は2年前。まだまだ、製作費も集まらず、スタッフも、俳優も決まってなかった頃。シナリオのリライトをするに当たって、僕自身が梅干の勉強をせねばと思った。
マキの父の仕事を、漠然と梅農家と決めていた。が、やはり知らないでは済まされない。
当時から応援して下さっていた中田さんにお願いし、梅干工場を見学させてもらった。
真夏の猛暑の日。シリコンバレーのような広大な敷地。そこにある中田食品さんの豪華新工場。案内してくれたのは、販売部の課長Kさん。
「南高梅」の由来から、梅の歴史。会社の歴史。梅干の作り方を説明してくれて、実際にその過程を見せて頂く。
幼い頃から食べてはいたが、作るのを見たのは初めてだった・・・・。
(つづく)
映画で出ない地元感(7)町を梅干で伝える 2005/9/4 [第十一章 ロケ地・田辺市篇]
そこで故郷・田辺に行ったとき、いつも大量に梅干を買って来る。
まず、今回の映画「ストロベリーフィールズ」のスタッフに配った。最初は皆、不思議な顔をしていたけど、その美味しさが分かると好評だった。
東京の梅干と違い、田辺産は大きくて肉厚。うまみも強い。そこから梅干を作った人、その土地が想像できたようだ。
今まで見たことも、聞いたこともなかった和歌山県田辺市。
だが、梅干がスタッフの中でイメージを作り始めたのである。
「田辺ってこんな旨い梅干を作っている町か・・」
「マキの親父は、この梅を作ってるのか・・」
「美香のオヤジはこれを加工してるんだな」
「ストロベリーフィールズ」という物語にも、リアリティを感じたという。
シナリオを読んだだけでは分からない、ものが伝わる。
「ストロベリー」の俳優さんたちにも、味覚で田辺感を掴んでもらおう!
(つづく)
映画で出ない地元感(6)味覚による和歌山表現? 2005/9/4 [第十一章 ロケ地・田辺市篇]
味覚によって、スタッフや俳優たちに、和歌山県田辺市という街を伝えられるのではないか?
何と言っても旅行に行ったとき強い想い出となるのは、地元で食べた料理だったりする。
北海道なら、サッポロラーメン。大阪なら、お好み焼き。福岡なら、博多ラーメン。
単に美味しかったというだけではなく、その土地土地の特色や風土が料理や食材からも感じられるものである。
では、田辺を表現する料理、あるいは食材、味覚と言えば何だろう?
田辺の味覚と言えば、みかん? いや、最近は梅干の方がポピュラーだ。
それに今回の映画「ストロベリーフィールズ」では、梅関係のキャラが多数出ている。
マキ(演じるは谷村美月)の家は梅農家。
美香(俳優はまだ、探し中)の父は梅の加工工場で働いている。
鉄男(波岡一喜)は中学時代から梅酒を飲んでいる。
何より、その土地でできた食品を食べることで、町のよさを強く感じることができるはずだ・・。
<つづく>
映画で出ない地元感(5)視覚、聴覚、味覚? 2005/9/3 [第十一章 ロケ地・田辺市篇]
そこでこの数年、僕が撮り続けた田辺の写真。俳優さんたちに見てもらう。
東陽中学や天神崎、屋敷町を撮影したドキュメンタリー・ビデオ。俳優分コピーし、渡す。
田辺市には懐かしくも美しい風景があり、大きな入道雲と夕陽が素晴らしい町であることは分かってもらえるはず。
「ストロベリーフィールズ」のシナリオを読んだだけでは、絶対に伝えられない部分である。
特にあの天神崎の夕陽は、言葉では語り尽くせない素晴らしさがある。映像でならそれが伝わるはずだ。
でも、他に何かないか? 田辺ビデオは「視覚的」なもの。「聴覚」もすでに考えている(後日、記述予定)あとは? と考えて、「味覚」があると気づく!
(つづく)
映画で出ない地元感(4)誰も知らない我古里 2005/9/3 [第十一章 ロケ地・田辺市篇]
和歌山県田辺市で生まれた、歴史上の有名人を上げる。武蔵坊弁慶。といっても、「また大河ドラマ?」と言われる。
天才学者・南方熊楠も田辺市に住み活躍した。といっても知っているのは、映画関係者だけ。それも「ああ、あの潰れた映画の主人公ね!」と印象は悪い。
今回のスタッフでも「撮影に参加しなければ、和歌山県には一生行く事はなかったろうなあ・・」と言う人が多い・・。
でも、現地を訪れたスタッフ、これまでに連れて行った若い子たちは皆、「田辺の町の懐かし感じが素敵。とても美しい町ですね!」と大感動してくれる。
それを「ストロベリーフィールズ」に出演してくれる俳優さんたち、佐津川愛美や谷村美月、そして芳賀優里亜。三船美佳さんや並岡一喜くん。
他、まだこれから決まる俳優さんたちに、伝えることで物語の舞台となる町・田辺を感じてもらいたいのだ・・。
<つづく>
映画で出ない地元感(3)誰も知らない和歌山 2005/9/3 [第十一章 ロケ地・田辺市篇]
東京に住む多くの人は「和歌山県」と言われても、何もイメージが浮かばないのが現実。
「わかやま/和歌山」と言うと、よく「おかやま/岡山?」と聞き直される。 有名な観光地がある訳でない。修学旅行で行くこともないだろう。
関西でも奈良・京都は古都、神戸は港町、大阪は食い倒れに吉本興業。強いイメージがあるが、和歌山県はその種のものがまるでない!
例えば、和歌山は江戸時代、徳川御三家のひとつ。八代将軍の吉宗を輩出している。
が、吉宗といっても、たいがいは「暴れん坊将軍?」「松平健?」マツケンサンバ?」としか連想してくれない。
「それとも大河ドラマ?」と思われ、和歌山県と結びつかないようだ。それどころか一番多くの答えが・・。
「和歌山県・・田辺市・・・聞いたことないなあ・・・」
残念ながらこれが、現実・・。
(つづく)
映画で出ない地元感覚(2)リアリティの種? 2005/9/3 [第十一章 ロケ地・田辺市篇]
映画「ストロベリーフィールズ」の舞台は、和歌山県田辺市。
俳優は住人に成り切ることはできなくても、「東京の人が演じている感」はなくしたい。
せめて「この人は、ここで暮しているんだろうなあ」と感じるくらいの雰囲気は、出したくて悩んでいた。
と、言って彼らを事前に町に連れて行くことは、スケジュール的にも製作費的にも不可能。では、どうすればいいのか?
俳優というのは非常に鋭い感性で人や物を見て、それを表現するにはどうすればいいか?を常に考える人たち。
だから、何かヒントがあれば実際に経験したことのない役でも、リアルに演じてくれる。
同じように田辺に行けなくても、町を知ってもらうことで、リアリティを出してもらえるのではないか?と考えた・・・。
<つづく>
映画で出ない地元感覚(1)黒澤明とデ・ニーロの場合 2005/9/4 [第十一章 ロケ地・田辺市篇]
本日も、田辺をロケハン。移動の途中で考える。
地方を舞台にした映画やドラマを見ていると、「いかにも東京から来た俳優が、地元の人を演じている!」という違和感が漂う作品がある。
町の人がエキストラで出ていたりすると、その差は歴然。農家にも漁師に思えないのに、畑を耕し、地引き網を引いている。それが許せなかった。
が、難しいのは東京に住む俳優に撮影時にだけ、いくら漁師の衣裳を着せても、それらしく見えない。できれば撮影の何カ月も前から漁師として、生活してもらえればいいのだ。
ロバート・デ・ニーロは「タクシードライバー」の撮影前に、本当に免許を取りニューヨークでタクシー運転手をした。
黒澤明監督は時代劇の衣裳でも、俳優に持ち帰らせる。そして自宅で日頃から着させて、何度も洗濯させる。衣裳もそうすることで体に馴染む。
ただ、今の日本映画界ではなかなか、そこまではできないい。ほとんどドラマでは、その辺を諦めて撮影している。が、何か方法はないか?考えた・・。
(つづく)
故郷でロケ地巡りの旅を!/誰も知らない懐かしい町 2005/9/3 [第十一章 ロケ地・田辺市篇]
和歌山県田辺市には、歴史に残る有名な建物はない。が、素晴らしい家やお寺がたくさんある。素敵な風景がいっぱいある。
観光ガイドに載るようなものではない。が、映画の撮影があれば、そこもまた観光地だ。
尾道と同じように「田辺映画マップ」を作れば、都会の若い人たちがロケ地巡りに来てくれるかもしれない。映画をきっかけに、田辺に興味を持ってくれるかもしれない。
取り壊わさずに東陽中学の木造校舎が記念館として残せれば、誰もが感動する最高の観光スポットだ!
天神崎もロケ地マップに載せる。夕陽はここから見れる!理沙が立った場所はここ。マップにはそれも書かれている。
鉄男の働く高山寺はここ。マキたちが幽霊になった墓場もある。
会津川の河原に、マキと理沙がケンカしたポイント。そこには古いが、懐かしい感じの大きな排水口。マップにはそんなふうに書きたい。
映画があることで、町の「素敵な場所」や「懐かしい風景」を繋ぐことができる。田辺の良さを多くの人に、伝えることができる。観光ビジネスとしても成立する話。
思い出すのは映画の協力をお願いしてまわったとき、多くの人に言われたこと。
「今、田辺は漁業も、農業も、林業もアカン。せめて観光でがんばりたい。でも、みんな田辺を飛び越えて、白浜温泉に行ってしまう。何か、観光で来てくれる要素がほしい・・」
それに応える展開ができる。映画をきっかけに、いろんなことができるはずだ。
単に「観光ビジネス」というだけではなく、昭和40年代の香りが残る田辺と言う街を若い人たちに感じてほしい。そこに彼ら彼女らが探す、何かが見つかるはず・・・。
まだ、映画の撮影も始まっていないが、田辺映画マップ製作。「ストロベリーフィールズ」の企画スタート時からの夢である!
<つづく>
ロケ地マップ片手に尾道の旅(下)深町君の家はどこ? 2005/9/3 [第十一章 ロケ地・田辺市篇]
「時をかける少女」の深町君の家が見つからない。庭にラベンダーのビニールハウス(これは撮影用に作られたが)のあるあの建物。
かなり時間をかけて見つけたが、本当にそれだかどうか確信が持てない。地図にも場所が明確に書かれていない。そのことを以前、大林監督にお聞きしたところ。笑顔でこう言われた。
「あれはね・・迷うように作った地図なんだよ・・」
というのは、観光ガイドや地図を見ながら旅をすると、確実にその場所につける。
そしてガイドブックに載っている写真と、ほぼ同じの建物を見付け、また次へ向う。
それが観光だろうか? そこに物語がない・・と監督は考えたそうだ。だから、尾道映画マップは分かりにくく作った。地図を見ながら行くと迷うようになっている。
「この道でいいのかなあ?」「こっちじゃないのかな?」そう思いながらロケ地を探す。地図は手がかりにしかならない。
(写真下は「転校生」で主人公の2人が入れ替わる石段のあるお寺)
そうやって苦労して目的地に辿り着けば、感動もひとしお。そこに物語が生まれる。目的地に着かないで、別の風景を見つけた。それもまたドラマであると話してくれた。
なるほど、その通りだ。観光ガイドに載った建物の写真を、確認するのが旅ではない。映画を介することで、旅がドラマテックになる。物語が作れる旅。
わが古里を思い出す。田辺でも映画を撮れれば、同じことができるのではないか?
「ストロベリーフィールズ」を撮れば、「物語のある旅」ができるようになるのでは?
<つづく>