地方映画ブーム(1)映画で町おこし! 2005/9/3 [第十一章 ロケ地・田辺市篇]
地方には素晴らしい場所なのに、歴史的な背景がないことで観光地にならないところがある。当然、人々が訪れることもない。
でも、そこを「映画のロケ地」として使うことで、多くの人に良さを伝えることができる。
つまり、地方で有名な観光スポットがなくても、映画を撮ることで全国にその町の素晴らしさをアピールできるのである。
その事実に目を付けたのが、最近の地方映画ブーム。「町おこし」を狙い、多くの自治体がフィルムコミッションを設立。映画会社にロケしてもらおうと、血眼なっている。
きっかとなったのが尾道映画。大林監督が新作を撮るたびに、観光客がどんどん増えて行った・・。
多くの町が見習い、映画ロケを誘致。投資もした。
なのに評版がよくない映画が多い。それは、なぜなのか・・・?
<つづく>
ロケ地マップ(下)映画『転校生」を旅する 2005/9/3 [第十一章 ロケ地・田辺市篇]
「尾道ロケ地マップ」の発想で考えると、凄いことになる。
「歴史的な建物」や「有名な侍が死んだ場所」ではなくても、映画が撮影された場所もまた観光地になるのだ・・。
「ここで撮影された!」「この場所に小林聡美がいた!」
そんな感動がまずある。
「『転校生』の主人公・斉藤一夫君は、この家に住んでいたんだ!」
「『時をかける少』の(原田)知世ちゃんはタイムリープして、この大きな木の影から昔の両親を見ていたんだ・・」
さらに、映画の1シーンに入り込めるという感激がある。主人公たちが体験した風景を共有。物語を越えた経験ができるのだ。
映画ロケ地を訪ねる旅。これは従来の観光定義を根本から覆すものだ。その意味を考えてみよう・・。
<つづく>
ロケ地マップ(中)観光地って何? 2005/9/3 [第十一章 ロケ地・田辺市篇]
通常、観光ガイドを見ると、その町で有名な場所や建物が紹介されている。
が、その「有名」というのは何か? 伝統があるとか、歴史に関わりがあるとかいうことで決まってしまうことが多い・・。
世界最古の木造建築であるとか、足利義満が作ったお寺であるとか、坂本龍馬が殺された旅館であるとか、そんな背景が観光地とされる。
つまり、昭和に作られた新しいお寺ではダメ。有名な将軍が建ててなければダメ。歴史に名を残した侍が殺されないとダメ。
そうした定義では何世紀にも渡って、歴史の舞台となった奈良、京都は有利。田舎町では敵わない。マイナーな地方が、観光地になりにくい理由となる。
例え、心安らぐ建物でも、懐かしい路地でも、歴史に関わっていなければ、誰も目を止めない。ガイドブックにも載らない。長らく疑問に思っていた。
それに応えてくれたのが、「尾道ロケマップ」の発想だ・・。
<つづく>
ロケ地マップ(上)尾道を訪ねる旅 2005/9/3 [第十一章 ロケ地・田辺市篇]
映画「ストロベリーフィールズ」のロケハンで田辺の町をまわっていると、いつも考えることがある。
1995年。初めて尾道を訪れたときのことだ。
駅構内に「おのみちロケ地案内図」という無料の地図が置かれていた。噂に聞いていたロケマップ! 大林監督が監修、製作に参加したもの。
尾道三部作。そのロケ地を記した地図。それを見ながらファンがロケ地を訪ね歩くことができる。
「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」
みんなオンタイムで見た感動作。同世代は映画ファンでなくても見ている。尾道に来た友人たちと共に、探検を始めた。
「転校生」で尾美としのりと小林聡美が転げて、男と女が入れ替わるお寺。その階段を見つけたときの感動。(写真下)
「時をかける少女」の原田知世が、通う高校を見つけたときの衝撃。
「ロケマップ」を手がかりに探したものだった。そんなものを我、古里・田辺でも作れないか? 考えていた・・・。
<つづく>