死神テストⅥ 伽椰子と死神 /2004年12月 [第21章 撮影延期篇]
死神を撮影する・・いや、映像の上に生み出すために必要なのは、まず光。そして、衣裳。さらに俳優の資質。
次に考えたのが動き。
映画「呪怨」で見事だったのは、やはり伽椰子の動きである。見ているだけで嫌悪感を持ってしまう、あの凄さ。
ひとつ間違うと、タモリの昔の芸・イグアナ。だが、紙一重で恐怖となっている。
では、死神はどういう動きがいいのか?
<つづく>
死神テストⅤ 誰が演じるか?/2004年12月 [第21章 撮影延期篇]
上の写真。太陽待ちをするカメラマンと若旦那。逆行がいいことが分かり、陽が射すのを待つ。
スチ−ルの撮影だけでなくムービーの方も、やはり逆行気味が良い感じ。ただ、なぜか、海を見ている死神が淋しそうに見える。
あの世に置いて来た彼女を思って、海を見つめているような感じもする。原因を考えてみると、死神の衣裳を着ている若旦那にあるようだ。
高く、背丈、いずれも問題はない。ルックはめちゃめちゃいいし、強うそうに見える。が、若旦那は非常に温厚で優しい人。いつも、気遣ってくれる。フォークのバンドを組んでいたりして、ナイーブな癒し系タイプ。
そんな性格が黒い衣裳を頭から被っていても、感じられるのか? 死神役は、背が高く、強そうなら誰でもいいということではないようだ。
衣裳と共に演じる俳優の資質が、「死神の存在感」を決めるように思えて来た。
<つづく>
死神テストⅣ 会議室と現場/2004年12月 [第21章 撮影延期篇]
海を見つめる死神。
撮影は逆光が有効。衣裳生地の質感がでないこと。全体が影となり、不気味さや神秘さが出ること。
あと、死神の定番である大きなカマは持たせなかった。あれがあると死神だと分かり易い。
が、青春ファンタジーである「ストロベリーフィールズ」の物語からすると、少し違って来るのでなしにした。
美しい田辺の風景に不吉な死神というのは、思った以上にいいものだ。美しくも悲しい物語にも合っている。
行ける!とは思っていた。が、実際にやってみると、想像だけでは分からないことが見えて来る。
やはり、会議室では映画は作れない。映画は現場で作るもの・・・どこかで聞いたセリフ?
<つづく>
死神テストⅢ 衣裳と生地 /2004年12月 [第21章 撮影延期篇]
映画というのは実際にはあり得ないものを、映像として写し出す仕事。「ゴジラ」等の怪獣から、「四谷怪談」のような幽霊。
実際には存在するが、再現すると膨大な金がかかってしまうのが戦争映画。だから、特撮を使う。
その種の作品を撮るときには、本当にリアルな映像が可能かどうか? テスト撮影をする。
その繰り返しの中でさまざまな技法が見つかり、本編に生きて来る。
死神に関しては、以前、別のドラマでテスト済み。だが、田辺と言う町と調和することを確かめたいのがメインで、カメラ・テスト。
ムービーとスチールの両方を撮影。
以下が、その1枚。稲成の坂道に佇む死神。町のどこかに病気で寝込む人がいて、その死期が間もなく来るので待っているという設定。
なかなか良い感じである。ただ、衣裳の生地が安物なので、背中部分がテカっている。
ビニールのように見え、安っぽくなってしまう。が、思った以上にこの町にはフィットしている・・。
<つづく>
死神テスト撮影Ⅱ/2004年12月 [第21章 撮影延期篇]
死神というのは、知っているようで知らない存在。
怪物でも、妖怪でもなく、本来は神様。人の死期が近づくとやってきて、死んだら魂をあの世に連れて行くのが仕事。
自ら人の命を奪ったり、傷つけたりはしない。
中世のヨーロッパが発祥なので、衣裳は修道僧のようなものを着ている。欧米ではタロットカードのデザイン、トランプのジョーカーに使われていて、日本における鬼とか幽霊的に不吉なものとして認知されている。
映画でもブラッド・ピット主演の「ジョーブラックによろしく」などにも登場しているが、日本ではドラマ等で扱われることが少ない。
「8時だよ!全員集合」「オレたちひょうきん族」等のバラエティ番組のコントとして使われることが多かったせいか? 死神というとギャグと感じてしまう人もいる。
さて、そんな死神が日本の田舎町に現れるという物語を映像にしたときに、問題はないか? そのテストをしてみた。
衣裳を着た若旦那に同行してもらい、田辺の町のあちこちで、ビデオカメラとスチールカメラをまわしてみる。
<つづく>
死神テスト撮影/2004年12月 [第21章 撮影延期篇]
何とか製作続行が決まった。せっかく田辺に来ているので、ロケハンの続きを行う。あと、前から気になっていたこともやらなければ・・。
「ストロベリーフィールズ」のシナリオを映画会社に読んでもらって、一番理解されにくかったのは「幽霊ファンタジー」という部分・・。
その中でも死神の存在は、特に理解されなかった・・。日本では馴染みが薄く、イメージできない人が多い。
おまけに死神は西洋風。(日本風死神は希有、唯一知るのは「ゲゲゲの鬼太郎」に登場したもの)それが昭和40年代の風景に現れることが、さらにイメージできないらしい。
意外に合うと思うのだが、それを実験してみた。
そのときのロケハンは僕と、カメラマンのSさん2人。僕が死神役をするには体型がよくない。死神は背が高く、スタイルがよくないとダメ。
いつも宿泊させてもらっている平の家の若旦那に、お願い。彼はバッチリ! 背が高く、スタイルもいい!

僕の手作りである衣裳を着てもらって、いろんな場所でテスト撮影してみた・・・・。
<つづく>