町を美しく撮る方法Ⅱ [第13章 仲間たちの応援篇]
僕は俳優と仕事をするとき、その人の過去の出演作品を見る。それだけでなく、その人が好きな作品もビデオで見る。
その俳優のいろんなことを知ろうとする。そうすればその人のよさが分かり、それを芝居で引き出せる。その人が好きになれば、より良い部分を引き出せる。
町も同じではないか? ロケハンの段階ではなく、それ以前にカメラマンを町に連れて行き、案内し、町を知り、地元の人とふれ合い、好きになってもらいたかった。
ただ、美しく撮るだけではなく、その町を好きになった上で撮ってもらえれば、より美しい絵が撮れるのではないか? (つづく)
町を美しく撮る方法Ⅰ [第13章 仲間たちの応援篇]
理由はもうひとつある。
実際に製作にゴーサインが出ると、映画ではロケハンをする。現地に行き撮影ポイントを探す。
そこで、周辺の環境を確認する。場所の状態を知ることはできるが、町を詳しく知ることはできない。
撮影する場所以外には行けないし、町の人々と交流も持てない。タイム・イズ・マネー。素早くロケ地を見て、素早く飯を食い、素早く東京に戻る。
以前から疑問だった。撮影場所しか行ったことのないところで、その町を描き、美しく撮ることができるのか?(つづく)
カメラマンSさん /2004年4月 [第13章 仲間たちの応援篇]
そこで、何度も仕事をしているカメラマンのSさんにお願いした。実は2年前から「ストロベリーフィールズ」の撮影を依頼していた。
彼とは何本も仕事をしているが、実にセンスのある絵を撮ってくれる。ヨーロッパ映画のような美しいフレーミング。見事な手持ち。
日本人とは思えないセンス。「劇場映画を撮るときは、Sさんに頼もう!」以前から決めていたことだ。
なのに、毎年夏になると「今年も撮影できそうにないです・・」と謝りの連絡をしていた。
その彼に古里の町を撮ってもらえば、誰もが感嘆する映像が上がるに違いない。そう思えた。さらに・・・。(つづく)
「ストロベリー」戦線に復帰 2004年4月 [第13章 仲間たちの応援篇]
(復活篇スタート)
メイキング編集が終了。「ストロベリー」戦線に戻る。
編集した田辺紹介ビデオ。あちこちで好評。言葉で「和歌山県」というと皆、拒否反応を示す。が、あれを見てもらうと「ほーいいねえ」と言う。
ただ、あれは風景だけ。もし、そこに女子高生が歩いているところが写っていれば、より「ストロベリー」の世界を感じてもらえるのではないか?
カメラも僕がまわすのではなく、プロのカメラマンに性能のいいカメラで撮影してもらえば、より映画的になるのではないか?
(つづく)
D社の最終提案Ⅴ /2004年3月 [第13章 仲間たちの応援篇]
つまり、絶対に揃えられない条件を突きつけて、「ダメでした」と僕に言わせる。
そうすれば「じゃあ、我が社は映画に投資できません!」といい、撤退できるということ。自分たちに落ち度はない。友人はそう推測する。
しかし、D社のPはそんな人ではない!と信じる。真剣に「ストロベリーフィールズ」の田辺ロケを考えて提案してくれたものだと思う。
確かに、厳し過ぎる条件。彼の言い方にも「きっと無理でしょうけど・・」というニアンスも感じた・・。
でも、必ず、揃えて見せる! これが最後のチャンスかもしれない!(つづく)
D社の最終提案 Ⅳ /2004年3月 [第13章 仲間たちの応援篇]
業界の先輩に相談した・・。
「それは酷い条件だな。そこまでしないとD社は動かないのか?
でも、もし、それが全部揃えば、確実にD社は動くな。ストレートフラッシュのような条件だ。
ま、揃えばだけどな? とても無理だと思うけど・・・」
他の先輩や友人に聞いても、非常にD社に都合のいい条件。けど、それを個人で全部揃えるのは無理・・。
その提案はある種、「NO」の意味だという友人もいた・・・?
(つづく)
D社の最終提案 Ⅲ [第13章 仲間たちの応援篇]
だが、分かるのは*千万円をタダでもらっても、名もなき地方で撮影するのはもの凄いリスク。
そのくらいのことをしないと、和歌山までは行けないという意味なのだろう。
でも、今の地元の状況では投資でさえ不可能。まして寄附なんてとんでもない。
先日のご老人のように「先にD社が金を出すなら考える」と、いわれるのは目に見えている。
が、そんなことを言えば、D社は即時撤退だろう。Pが企画会議で田辺ロケを通すには、そこまでしないともうダメということなのだ・・・。
業界の先輩に相談した・・・。(つづく)
D社の最終提案Ⅱ 2004年3月 [第13章 仲間たちの応援篇]
D社の出した3つ条件は以下の通り・・。
1、大物監督の応援。
2、地元からの支援。*千万円。でも、それは投資ではなく寄附であること。
3、自治体、市、県の後援。
「その3つを揃えたら、うちはすぐにでも動きます」彼はそう言う。
が、「3つとも揃うのは、まず無理だと思いますけど・・」というニアンスもあった。その通りだと思う。あまりにも都合のいい条件だ。
特に、2番目。投資ではなく、寄附である。
地元は金を出しながら、利益はもらえないということ。儲けは全てD社が取るというものだ。それは都合よ過ぎないか?
(つづく)
D社の最終提案Ⅰ /2004年3月 [第13章 仲間たちの応援篇]
D社のプロデュサーに報告。
地元テレビ局の参加がダメだったこと。地元からの応援、支援者は現段階では皆無なことを報告する。彼はため息を付く。
「僕もいろいろと、難しい立場にあるんですよね・・・」
「ストロベリー」だけでなく、他の仕事もあること。いろいろと考えた結果、ある提案をしたいという。
「3つの条件。それを全部揃えれば、必ず企画会議は通ります。我が社は動かざるを得なくなります。それを揃えてもらうしか、もう方法はないですね・・・」
最終提案のような言い方だった。「それが無理ならもうやめる」という風に聞こえた。その条件というのは・・・。非常に厳しいものだった・・。(つづく)
メイキング編集開始 /2004年3月 [第13章 仲間たちの応援篇]
東京に戻り、メイキング編集が正式にスタート。「ストロベリー」活動を一時中止して作業にかかる。
ここ2週間ばかり、朝起きてから寝るまで編集をしている。70時間の素材と格闘。終わりが見えない。
メイキングの編集で、テレビスポット用5分×3本を作る。大役を任せられたのだから、それに応える作品を仕上げねば!
ちなみに、「監督編」「俳優編」「????編」の3種を編集中。
そんな中、和歌山での報告をD社にする。地元の状況は最悪。
もしかしたら、「我が社は撤退します」と言われるかもしれない・・・(つづく)