天王寺出身・波岡一喜! 2005/8/30 [第七章 鉄男を探せ!編2]
そんな高校の帰り、僕は天王寺や新世界をうろつき、薄汚い映画館に通っていた。
高校時代の放課後は「じゃりん子チエ」の世界にいた。その天王寺で育ったのが波岡君。
広い東京で昔の友人に出会ったような感覚があったのは、そのせいだろう。
天王寺出身の波岡君なら、鉄男を演じるのに相応しい。キャラの背景も経験も持っている。
いろいろと話をしたが、最初の段階でもう決定していた。波岡君からは鉄男色のオーラが出ている。
だが、鉄男というのは、もの凄く「大きな意味」と「映画のテーマ」を担う存在。その事実を知るとき、さすがの波岡君も青ざめることになる…。
<つづく>
天王寺出身の俳優 2005/8/30 [第七章 鉄男を探せ!編2]
波岡一喜君は好青年。ルックスもよく、真面目で、強さの中にも繊細さがある。
映画「パッチギ!」では高校生を演じているが、実際は27才。でも、かなり若く見える。プロフィールを見ながら話を始めた。
出身は大阪府って書いてあるが、大阪のどこだろう? 聞いてみた。
「生まれも育ちも、天王寺です!」
と笑顔。ああ、なるほどそういうことか! 先に思わず「よぉ!」と言ってしまった理由が分かった。
天王寺は大阪で、キタやミナミに次ぐ大きな町である。が、その2つは、この10数年でどんどん新しくなり、大阪らしさが少なくなっている。
その中で、天王寺だけは未だに、「大阪!」と言う感じ。実はそこに僕の母校である、U高校もある。
「ホンマですか!? 知ってますよ。めっちゃ近所ですから!」
と波岡君もよく知っていた。だから、僕も天王寺をよく知っている。あの町の空気、活気、風、臭い。天王寺ならではの、ものがある・・。
<つづく>
「パッチギ!」波岡一喜、登場! 2005/8/30 [第七章 鉄男を探せ!編2]
芳賀優里亜と会った日。もう一人。重要な役の面談があった。
鉄男役である!
2005年8月30日。午後5時。製作会社で待っていると、時間通りに波岡一喜君が事務所の方々とやってきた。
映画の世界でも初対面のときは、ちゃんと挨拶をする。
「初めまして。監督の太田です」
それが常識なのに、波岡君を見るなり「よぉ!」と言ってしまった。
なぜか? 昔の友達に会ったような表現になった。波岡君も・・。
「はあ、どーも!」
と、「ああ、久しぶりです!」という感じで答えた・・。いい感じだ。
(つづく)