製作続行が決定!/2005年3月末日 [第22章 絶望の連続篇]
4月までに、製作費の3分の2が集まった・・。
何度も製作費を計算し直した。
最悪その額でも、何とか映画製作ができることが分かる。(宣伝費とかキネコ代はなし、かなり厳しいが・・)
何とか、このまま続行しようという話になった・・・。
引き続き、投資先を探して行くが、この夏の撮影が決定する!
ヤッホーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
<つづく>
製作費3分の2集まる! /2005年3月15日 [第22章 絶望の連続篇]
僕以外の経由で、製作費を投資してくれる会社が見つかる! 全額の3分の1を出すという。
これで地元の3分の1と合わせて、3分の2が集まったことになる!!
よっしゃーーーーー! 諦めなければ、何とかなるものだ! 残り3分の1を何とか集めるぞ!
映画「ストロベリーフィールズ」製作開始まであと、1歩じゃあーーー!
<つづく>
茶封筒の1万円札/2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
帰り際に、友人から茶封筒を渡される。中には、1万円札が何枚も入っていた・・・。しばらく、生活額だ・・。
「出世払いでいいよ!」
そう言われた。本当に苦しいときなので涙が溢れそうになる。 僕なんかのために・・・・本当に辛いときなので、一段と心に染みるた・・。
そんな親友の思いに応えるには、映画を完成させるしかない。絶対に「ストロベリー」を投げてはいけない。いい加減なものを作ってはいけない・・・。
本当に僕が作りたかった「ストロベリーフィールズ」という映画を必ず作る!必ず・・・必ず・・・作る・・・。
<つづく>
「励みになる」/2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
友人は続ける。
「けど、お前は諦めようとしない。生活できなくなっても、やろうとしている。そんな姿見ていていると・・・忘れていたものを思い出す・・。
昔は俺も持っていたはずのもの。負けないように、明日からは頑張ろうと思う。
ただ、一晩寝て翌朝起きるとまた、疲れを引きずったいつもの会社員に戻っていて、前の日の熱さを思い出せなかったりするんだけどな・・・それでも励まされるよ・・・」
いや、励まされているのは、僕の方がだった・・・。
<つづく>
忘れてしまった十代の思い/2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
友人の話は続く。
「そんなとき、お前と会って映画を作るという話を聞く。何があってもやる! 絶対に作る!と言う。そんなお前を見ていて、何か忘れていたもの思い出した・・。胸を焦がすような熱い思い・・昔は、俺にもあったよなあ・・と感じたんだ。
もちろん、故郷で映画を撮るのは素人の俺が考えても、大変なことだと分かる。映画作りは何千万円もかかるんだし。
業界の友人が無理だ!不可能だ!と言うのは当然だと思う」
そう。仕事仲間からは非難の嵐だった・・・・。
「絶対に無理!」
「巨匠だってなかなか映画が撮れない時代」
「お前のように無名で、ヒット作のない奴に金を出すなんて奴がいる訳がない」
何人からもそう言われていた。 信頼している先輩も同じことを言う。これはキツかった。
当初は応援してくれていたのに、「もう無理だ。D社が投げた段階で、終わったんだよ・・」と宣言された。
生活は限界を超え、先が見えなかった。でも、友人は言う・・・。
<つづく>
破れた夢/2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
深夜まで会社で働く彼を待って、夜中の六本木で会った。
「どうせ、食えないでいるんだろう?」と、居酒屋で御馳走してくれた。そこで僕がひたすら食べていると、彼はこんな話をした。
「学生時代。俺のまわりにいる友達は皆、夢を持っていたよ。写真家になりたい。俳優になりたい。小説家になりたい。ギターリストになりたい。
結局、みな夢破れて行った。結局、誰も夢を実現できなかった・・。それでも、俺から見ると羨ましかった・・。
追う夢があるだけで凄いと思ってた。俺は特になりたいものはなかったから、平凡な会社員になった。
でも、サラリーマンも楽じゃない。嫌なことがいっぱいある。そんな日常を送っていると、何かをなくしていくような気がするんだ。
夢なんてなかったけど 、若いころは何か熱い思いがあった。何かできるはずだという気持ちがあった・・。
けど、毎日、同じ仕事を繰り返していると、そんな熱さをどんどん忘れて行く。大切なものをなくして行く気がする・・」
<つづく>
友人の言葉/2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
そんなとき、サラリーマンをする友人と会う。生活が行き詰まった話はしなかった。でも、何も言わず飯を奢ってくれた。彼はこう言う。
「最近の日本映画は本当につまらない。新しいパワーを感じない。そんな作品をぶっちぎる面白い映画を作ってほしい。
僕も映画は好きだから、お前のシナリオを読んで感動した。きっといい映画になる。がんばってほしい!」
そんな言葉に励まされた・・・。
だが、生活は相変わらず苦しい。ある日、高校時代からの親友が突然電話をかけて来た。彼はこう言う…。(つづく)
花見のお菓子で生活/2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
このところ、食費すらままならない・・。
先日。友人主催の花見に手ぶらで出掛け、残った料理やお菓子を大量にもらってきた。しばらくは、それを食べて暮す。
酒もあるし、お菓子は保存が効く。ただ、何だか浮浪者のような気持ち・・。
「ストロベリーフィールズ」の投資をお願いに、会社まわりを続けている。最近は営業マンそのもの。が、なかなか芳しい返事がもらえない。
それと、いくら会社を訪ねても給料も出ない。交通費。資料製作代と、出費ばかりで、収入はゼロ。でも、今、生活のために働く時間はない。
先日上げたリストの会社も、次々に断られている。或いははっきりと返事をしてくれない。何か月もかかりそうで、待っていられなかったり・・。
春までに製作費を集めないと、全てが終わってしまう・・・。
<つづく>
幽霊ファンタジーⅡ /2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
4年前と違い日本でも、幽霊ファンタジーがヒット。ようやく、僕の書く作品も理解されるだろう。だが、映画の関係者にシナリオを見せると、こう言われる。
「2番煎じなんだよなあ〜。もっと、オリジナリティがないと!」
「真似したってダメだよね?」
同じパターンがないと理解できないくせに、似たものが出て来ると真似だという。
こちとら、4年前にすでにシナリオが出来てんだ!
その上、「ストロベリー」は1983年に作った学生映画「バイバイ・ミルキーウェイ」がベース。今から22年前に作った作品だぁ。
そうは思うが・・・メジャーで作ったもの勝ち。理解されなくて映画化されない間に、時代が追いついてきたのだ・・。
ただ、ようやく日本でもその手のファンタジーが認知されて来たのに、映画関係者は「二番煎じ」としか言わない。
結局、映画会社のお偉い方々は、同じような作品が他にないと理解できない。それでいて同じタイプの映画があると、似ているからダメと思う。どちらにしても、何もしないのである。
斬新さとか、オリジナルティとかいうが、そんなことは詭弁であり、要は「ベストセラー原作」とか「有名タレントが主演」ということでしか、映画化を決められないのだ・・。
映画関係者の話を聞くたびに、ため息が出る・・。
<つづく>
幽霊ファンタジー /2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
ここ数年の日本映画を見ていて、小さな期待と不安を抱いている。
4年前にシナリオを書き、営業を始めたとき。「ストロベリ−フィールズ」はなかなか理解してもらえなかった。
幽霊が出てくる感動ファンタジーというのが、日本映画にはほとんどなかったからだ。
アメリカでは「天国から来たチャンピオン」「ゴースト」と昔から、その手のジャンルがあり認知されている。
日本でも公開されているのに、映画会社の人たちは、幽霊というだけで「これってホラーだよね? なのに、怖くないんじゃない・・」と言う。
シナリオを読んでも、「詰まらない」というより「よく分からない」と言われることが多かった。
想像力が貧しいだけなのだが、幽霊や死神が出て来る感動物語というのがイメージできない。
それがここ数年、日本でもその手の作品が作られ始めたのだ。「黄泉がえり」「いま、会いにいきます」「星に願いを」等。みんなヒットして、好評だった。
そうなると、映画関係者も「ストロベリー」を理解するようになるかと思った。幽霊ファンタージーは、ヒットする可能性があると考えるかも?
だが、今度もまた呆れた評価が待っていた・・・。
<つづく>
営業先リストⅡ/2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
I社
芸能プロダクション。研修生等を映画に出演させれば、投資を考えるという話を聞いている。大きなプロダクションなので、宣伝等でも強い後押しが期待できる。
ただ、問題は所属タレントの中で、今回の主人公たちにピッタリの俳優がいるか?というところ。
可愛いだけのタレントを使った場合。お金は出たけど、演技力がなく、結果的に映画をダメにしてしまっては無意味。
でも、あの会社なら、そこそこ実力のある新人がいると思われ、早々にアポを取ってもらう。
J社
昨年、球界参入で話題となったライブドアから出資受けて、映画を作る事業を進めている。
作品は完成後、インタネーット通信で流され、その後、DVD化。劇場公開作も手がけている。
以上の会社を順に訪問。投資をお願いする・・・。
<つづく>
営業先リスト/2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
今年に入ってからも業界の友人、知人から情報収拾を続けている。現段階で「ストロベリーフィールズ」に、投資してくれそうな会社をリストアップした。順に、訪問する予定。
G社
映画製作をしている。大手芸能プロとも提携している会社。社長は以前から応援してくれている。
先日も相談に行くと「もう一度、シナリオを読んでみて、ウチの会社のメリットがあるなら投資とかも考えますよ!」と言ってくれた。
ただ、お金の流れがしっかりしていることを証明できることが条件。
H社
来春に売り出し予定の音楽ユニットがあるので、彼らを映画に出演させる。或いは主題歌も歌えるなら、タイアップして、宣伝等の協力ができるとのこと。
<つづく>
F社もアウト/2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
先日、質問をしてきたF社。「ストロベリー」への投資を考えてくれているというところ。近々に担当者に会うことになっていた。
だが、倒産が近いとの噂もあり、不安が募る。次々に社員が辞めているらしい。そんなとき、間を取り持ってくれた事務所から電話。
結局、話に乗っていた担当者も辞職したとのこと。これでまた大きな可能性が潰れた。
地元は資金集めに動ける状態になっているのに、東京側がボロボロ。2つの大きな事件で、製作費が全く集まっていない・・。このままでは、本当に終わってしまう。
期限は春。それまでに製作費が集まらないと、本当に終わりとなる・・。
<つづく>
焼酎は睡眠薬/2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
子泣きジジイを3人くらい背負っているような倦怠感と疲労感。パソコンに向かう気力もなく、ビデオを部屋で見る集中力もないことが続く。
20代の頃には考えられなかったが、1時間番組を集中して見ることができない。
途中で疲れてしまう。子供の頃なら、ほんとに何時間でもテレビを見てられたのに、最近では30分番組でも休憩しないとヘトヘトになる・・。
2時間もある映画なんて、少しずつ何日もかけて見るしかない。
パソコンに向かうのは根性、根性、ど根性!でデスクに着き、メールを書く。
それがいざ、寝ようとすると寝られない。もう疲れて果てていて、何かをする気力はないのに眠れない・・・。
だから、眠れるまで焼酎を飲み続ける。ほとんど睡眠薬。このままでは体も心も、壊れてしまう・・。
<つづく>
体力の限界/2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
編集や執筆。パソコンに1日16時間くらい向かう状態が、何ヶ月も続いている。
肩や首がコリを超えて、限界状態。腰は激痛が走り、日常生活ができない。
もう、駄目だ・・・指圧に行く。「お客さん! どうすれば、こんなになるんですか? 何かの呪いですかね!?」とまで言われる。
でも、費用がかさむので「もう、痛みで仕事ができない!」というときまでは行けない。
鏡を見ると、顔が老人のようだ。それが疲れているのか? 歳をとってそうなったのか? よく分からない。
ストレスとプレッシャーのつるべ打ち。製作費は集まらず、業界の知人には「もう無理! 諦めた方がいいよ」と断言されている。
以前は、応援してくれていた知人からも見放された。
「もう、面倒見切れない・・勝手にしろ・・」
経済的にも、立ち行かなくなって来る・・・。
<つづく>
疲労、疲労、疲労/2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
そんな生活をしていても、激やせすることがないのは驚き・・・。
LA時代にも実感したことだが、アメリカでは貧しい人ほど太っているのは、「ファーストフードが、いかにカロリーが高いか? 」を証明しているのだと思える。
疲れがピークになっても、やることは山ほどある。
映画「ストロベリーフィールズ」に投資してくれる会社探し、資料作り、営業、企画書直し、シナリオ直し、シナリオ印刷、製本、発送・・・。
応援してくれている人への報告メール、参考ビデオの編集、ダビングと、ギャラの出ない仕事が山ほどある。
役者やスタッフに会うとき、営業のときには、どんなに疲れていても元気に振る舞う。疲れを見せてはいけない。
が、部屋に帰ると緊張が切れて、疲労感に押しつぶされ、何もできないことが多い・・・。
<つづく>
疲労レベル/2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
20代の頃までは疲労レベルが1、2、3、と上がって行っても、夜寝ると、また翌日は0。疲労レベルは最初からスタート。1、2、3と上がって行った・・・。
ところが、この数年。映画「ストロベリーフィールズ」の営業が中心だが、1、2、3と進んだ疲労度が、寝ても翌日は続きで4、5、6、と進む。
1週間も経つと疲労がどんどん溜まって、67、68、69と止めどもなく上がって行く。
多少、真剣に寝ることができても、疲労度はレベル50くらいまでしか下がらず、常に疲労感や倦怠感を抱えたまま・・・。
おまけに経済難で栄養あるものも食べられない。もらったお菓子を食べたり、「スーパーサイズミー」なハンバーガーばかりで過ごしている・・・。
<つづく>
毎日見る悪夢 /2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
(次回から「第1部完結編」スタート!)
この数年、眠りが浅く、なかなか熟睡できない。寝ている間中、まわりの音が聞こえる。いつも、朝方に寝る。あとはこうだ・・。
「アパートの前に新聞配達の自転車が止まったから午前5時か・・・隣の住人が出て行くドアの音。午前9時か・・・ゴミを集めに来たから10時・・」
ずっと、まわりの音が聞こえる。眠りが浅い。
たまに夢をみると、悪夢の連続。黒澤が見る夢は総天然色の芸術的なものだけど、僕のは残酷ホラーの4本立て! 気持ち悪いものばかり。
なかなか製作費が集まらない不安、撮影時期まで決まりながら全部崩れ落ちたショック、信頼していたプロデュサーに裏切られたり。
そんなことが夢に現れているのだろうか・・・。<つづく>
倒産の噂 /2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
投資を考えているというF社。ここが参加してくれればと期待している。が、そんなとき、良からぬ噂を聞いた・・。
90年代は数多くの映画やVシネマを製作していた会社だが、この数年で本数が激減。今ではほとんど一桁。それもほとんどヒット作がない。
社員プロデュサーも次々に辞めて行くらしく、倒産するのではないか?という話がある。その噂を1人2人ではなく、多くの業界人から聞いた。
もし、先日の質問がクリアーになり、先方が乗り気になっても、撮影直前に倒産てなことになったら、また製作中止だ。
D社の裏切りでかなり酷いダメージを受けたが、それ以上の衝撃が走るに違いない。果たして、F社との話。進めるべきなのだろうか?
<つづく>
次回から「第1部完結編」スタート!
投資の可能性浮上Ⅱ /2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
(1)の問い合わせを考えると、F社はめずらしく、「ストロベリーフィールズ」の内容を分かっていると思えた。
これまでシナリオを読んだ企業は、「よく分からない話だ」「死神はやめた方がいい」「何がいいたいか?分からない」という反応だった。
それがかなり踏み込んだ指摘なので、F社は内容を理解しているように感じる。あと、美しい画面は必要不可欠。これも正解。
だからこそカメラマンには、イタリア人のような映像を撮るSさんを考えた。もう、4年前からお願いしている。
(3)の項目から考えても、F社は今までとは少し違う。Vシネマを作る会社は東京でさえ上映すればOKというところが多い。
なのに、和歌山以外の地区でも上映というのは、作品に力があると考えているのだろう。
これは久々に理解ある会社だ。ようやく運が向いて来たのかもしれない。が、あまり期待するとD社のように、大きな裏切りが待っていることもある。
すぐには信用せずに、用心しながら話を進めることにする・・・。
<つづく>
投資の可能性浮上 /2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
年末に訪ねた事務所から連絡がある。F社が「ストロベリーフィールズ」のシナリオを読み、好感触だとのこと。
で、先方からいくつかの問い合わせがあったとのこと。以下に記してみる。
(1)「ストロベリー」という物語は美しい風景を見せることが不可欠。カメラマンはその種の映像が撮れる必要がある。なので、現在、決まっているカメラマンが過去に撮った作品を何本か見たい。
(2)地元の出資について。地方は金を出すと言って結局、予定額が集まらないことが多い。そのために過去にも、結局、F社側が製作費を全額負担。大変なことになったことがある。なので、地元のどの企業が出資する予定なのか? 社名をリストにしてほしい。
(3)地元でどのくらいの動員が見込めるのか? どのくらいのチケットがさばける見込みなのかを知りたい。和歌山市にはシネコンがあるので、そちらでも上映してはどうか? さらに和歌山地区以外での地方上映も考えた方がいい。
以上の3つがF社からの問い合わせ。(1)に関してはカメラマンSが担当した作品を作品を送ろうと考えている。
ロケ地を中心に撮影した田辺ビデオもあるので、見てもらえば、彼の腕はすぐに分かるだろう。(2)&(3)は地元支援者に相談の上、対応するつもり。
<つづく>
アイドル映画滅亡? Ⅳ /2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
そんな人気俳優を若手の監督が、連れて来れるはずもない。そもそも俳優にオファーするのは、プロデュサーの仕事だ。
それを要求するのは、筋違い。友人たちは歯ぎしり・・・。
僕も以前、「女優のYを連れて来たら、映画を撮らせてやる!」と言われた。が、その後、Y主演の映画が公開されたが、大コケ。
というより、誰も知らないで終わったというようなことがあった。タレントを見に行く客は、ほとんどいないことを改めて実感。
なのに、未だにアイドルや人気タレントを要望するビデオ会社から、それ抜きで投資を求めるの難しいと言われる。何か間違っている・・。
<つづく>
アイドル映画滅亡? Ⅲ /2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
出演者より内容で映画を見る志向が強まった現代でも、「アイドル****初主演映画!」とか言って宣伝する。
と、中身のない作品と思われ、避けられ、ヒットしなくなった。
しかし、映画会社やビデオメーカーは未だに人気タレント信仰を持っていて、人気タレントの出演を強く要望する。
テレビならまだそれでも通用するが、映画ではもう無理。なのに、こだわる。
僕と同じように営業する友人監督たちも、何かというとPから「人気のTを連れて来たら、1億円出すよ」とか言われて苦労している・・・。
<つづく>
アイドル映画滅亡?Ⅱ /2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
現在、グラビアで人気あるCやD主演の映画、というのはない。
観客の志向が変化して、可愛いアイドルはグラビアやビデオで見る。お金を出して映画館までは行かない風潮が強い。
だから、アイドル映画は当たらない。歌はCD等で聴き、テレビ番組ではあまり見ない。だから、歌番組が激減。
「***ちゃんが出てるから!」で映画見に行くのは、極々一部のマニアだけ。なので、舞台挨拶がある初日は満員でも、あとはガラガラということがよくある。
つまり、ファンがタレントで映画を見に行ったのは、山口百恵、たのきんトリオまで。それらはタレント有りきで、作れていた。
その手の作品は内容より、アイドルが優先される。中身は二の次。どんな物語でも、そのアイドルが出れば客は来る。内容的にはどうしても、安易なものになりがちだった。
そうして観客は「アイドルの出ている映画は、つまらない!」という認識を持つようになる・・・。
(つづく)
アイドル映画滅亡? /2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
また、別の問題点もある。
今はアイドルが出るだけで観客からは「どーせ、手抜きのアイドル映画だから!」と思われて、ヒットしない。
昨年、CMでも大活躍のAが出た映画も10億円かけて、収入は8億。アイドル映画だと思われたためだ。
実はこの現象は90年代から始まっていて、人気絶頂だった頃の歌手Bが主演した映画も大コケ!
その後、グラビア・アイドルや人気アーティストが主演の映画がいろいろあったが、ほとんど不発に終わっているのだ・・・。
<つづく>
DVDが映画製作を邪魔する?/2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
さらに問題を難しくしているのは、DVDの普及。これまでメーカーがレンタル・ビデオ店に降ろしていたのはVHS。これは2万近い値段がするので、収入の割も大きい。
が、現在どんどん増えているDVDは、1枚5千円弱。そうなると儲け率が少なくなる。今まで以上に売れないと、黒字が出ないというのだ。
もちろん、VHSとは違い、一般発売もあるので、当たれば、これまで以上に儲かるのだが、洋画でないとなかなかメガヒットは出ない。
そんなことで、ビデオメーカーからの投資が難しくなっているのが現状らしい・・・。
(つづく)
ビデオ会社が投資しない理由 [第22章 絶望の連続篇]
昨年末、仕事納めの日に訪ねた事務所。そこの方と話した。彼はこう言う。
「映画に投資してもらうには、ビデオ会社が早道。彼らはコンテンツが必要なので、他の企業と違い投資せねば仕事にならないですから。だが、難しい事情があるんです・・・」
最近、「町おこし」のために映画に投資する地方が増えている。が、それら作品は興行的に失敗することが多い。
そのほとんどが企画自体に問題があるのだが、ビデオ会社はそこまで考えてはおらず、単に「地方映画が当たらない。だから、投資を躊躇する」という構図を作っているという。
これはマズい考え方。ますます「ストロベリーフィールズ」を和歌山で撮影するのが、むずかしくなる・・。
<つづく>
前に進む事/2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
だから、諦めないはず。前に進むしかないはず。
そう考えて、映画「ストロベリーフィールズ」の営業と準備を続けてきたのだけど、現実は想像を超える苦しい状況・・・。
でも、ここから脱出するためには、やはり前に進むしかない。あとがないから、がんばるしかない。
全てを作品に賭けているのだから、「ストロベリー」は絶対に素晴らしい映画になるはず! そう自分に言い聞かせるしかない・・・。
<つづく>
諦めないために/2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
豪雨でびしょ濡れになり、強風で体が凍えても、家に戻らないようにするにはどうすればいいか? 目的地に辿り着く強固な意思を持つには、どうすればいいか?
帰る家が、なければいいのだ・・。
そんなふうに自分を追いつめることを考えた。4年前のスタート時点から大きな仕事は全て断って、できた時間の全てを映画準備に費やすことにした。
映画作りに愛情のない4流制作会社とは、全部「縁を切り宣言」。「ストロベリーフィールズ」の営業を始めた。
その成果(?)が上がり、最近は監督業依頼もすっかりなくなる。今までの日常に戻ることはできない。4流会社でも、もう仕事はもらえないだろう・・・。
<つづく>
映画を諦める背景/2005年3月 [第22章 絶望の連続篇]
僕自身、「ストロベリーフィールズ」をスタートする時、「本当に辛くなれば、投げ出してしまうかもしれない・・」という恐れを感じた。
自主映画時代に挫折した友人たちのことも、思い出された・・。
生活が苦しくなれば、自分に言い訳。「とりあえず、生活を立て直そう」と、依頼があった仕事を受けてしまうかもしれない。
「きっとまたチャンスはあるはず・・」と、自分を納得させようとする。逃げ場があると人は逃げてしまうもの。
D社のPが当初、あれほど「この作品をやりたい!」と言ってたのに投げ出したのも同じだろう。
「この企画をやらなくて給料はもらえるし、他にいくらでも仕事がある」と、いう背景から。
人は苦しいと、いろんな理由を探して諦めようとする・・・。
<つづく>