美香役・オーディション(1)形式? 2005/9/4 [第十二章 美香を探せ!篇]
映画「ストロベリーフィールズ」美香役のオーディションは、2005年の9月4日。午後から。大阪北区。地下鉄の西梅田駅のそばにある、会場で行われた。
対象は和歌山県に住む10代。
僕が子供の頃には考えられない、可愛い子たちが集まった。和歌山県にもこれだけ可愛い子たちいると驚いた。
その子たちを3人ずつのグループにして、話を聞いていく。
通常、一般オーディションだとこんな形。
会議室のようなところに、横長のテーブルを出し、そこに監督、プロデュサー、原作者とかが座り、その前に五人ずつくらいの応募者が立って、質問を受けて行く。
映画やドラマでよく見るパターン。ミュージカルの「コーラスライン」は、そのスタイルで物語が進む舞台劇であることも思い出す・・・・。
業界内だけのオーディションの場合は、事務所の応接室などで御茶を飲みながら話をすることも多い・・・・。
(つづく)
*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと13日!
学級委員役・美香・ネーミングの理由 2005/9/4 [第十二章 美香を探せ!篇]
映画「ストロベリーフィールズ」の主人公の一人・美香。その名前は、ある子からもらった。
以前、演劇学校で教えていた。生徒たちは皆「プロの俳優」を目指しているのに、学生気分のまま。台詞も覚えない。質問しない。積極性はゼロ。
宿題でホラービデオを見て来るように言っても、「怖いから見ませんでした・・」なんて平気でいう。
皆、よく遅刻する。休み時間の方が元気。完全に学生気分。授業は映画や舞台で仕事をする現役の講師から、何を学び取るかの戦い。
なのに、気分は高校時代の延長戦。卒業したからといって俳優になれる訳ではないのに、疑問を持たない。
そんな中、彼女だけは違った。クラスで一番ホラーが苦手なのに、宿題ビデオをちゃんと見て来る。絶対に遅刻しない。台詞もしっかり覚えて来る。優等生なだけではない。
彼女のモットーはこれだ。
「いいことがあれば、人の御陰。悪い事があれば自分のせい」
そんな子が今時いるか?と言われそうだが、本当に実践していた。
ただ、健気なばかりに、いつも損をしていた。その子の責任ではないことを責められる。努力を認めてもらえない。
気遣いをしても、優しさを見せても、気付かれないことが多い。本当に人の痛みを自分のものとして、何時間も友人の悩みを聞く。なのに、自分の悲しみを打ち明けられずにいる。
努力家で、みんなのことを考えるのに、いつも辛い思いをしている。応援せずにはいられない子だった。
学級委員の美香役は、その子から「優しさ」「責任感」と共に「名前」をもらった・・・。
そんな美香を本日、選ぶ・・・。
<つづく>
*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと13日!
最後のいちご娘を探せ!(4)和歌山出身? 2005/9/4 [第十二章 美香を探せ!篇]
「ストロベリーフィールズ」美香役候補のプロフィール。送られて来たものを見ていると、感じるものがある子が2名。その内の1人は特にいい!
僕の場合。プロフィールで「いいな」と思ったときは、かなりな確率で本人も魅力的であることが多い。
もちろん、プロフィールに貼られた写真が超可愛くても、実際に会ってみると「えーー別人じゃないの?」ということもある。
なので写真を見て「可愛いかどうか?」を判断するのではなく、「感じることがあるかどうか?」を基準にしている。そして、必ず会って確認。
候補者たちは皆、中学&高校生で和歌山在住。東京まで呼ぶ訳には行かない。
そこで田辺ロケハンの帰りに、オーディションをセッティングした。
会場は大阪北区。西梅田駅近辺のビルである!
<つづく>
映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと13日!*
最後のいちご娘を探せ!(3)田辺出身者? 2005/9/4 [第十二章 美香を探せ!篇]
毎日スーツを着て仕事をしていると、スーツが似合って来る。
が、僕なんて十年に一度着るかどうか? 仕方なしに葬儀などで着ると、必ず「似合いませんね?」と言われる。
同じ町に長く住んでいると、やはり町にフィットしてくる。
テレビ・ドラマで有名俳優が漁師を演じると、観光客が地元に人に交じって漁をしているようにさえ見える。
東京に住んでいる俳優が、地方の人と混ざると浮いてしまうのである。その町に馴染んでないのだ・・・。
「ストロベリーフィールズ」の美香役は、ロケ地である田辺出身の若手女優を探した。
演歌歌手は何人もいるが、10代の女の子は1人もいない。枠を広げて和歌山県出身者にしてみると、数が増えた。
この中から探そう。ただ、いい子がいないときは、和歌山にはこだわらない。役に相応しい子を選ぶことが一番大切・・・。
そう思いながら、送られて来たプロフィール(履歴書)を見ていると・・・。
<つづく>
映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと13日!*
最後のいちご娘を探せ!(2)/美香の条件 2005/9/4 [第十二章 美香を探せ!篇]
今回の「ストロベリーフィールズ」のいちご4人娘で、最初に決定したのはマキ役の谷村美月。映画「カナリア」を見て、「この子だ!」と思った。
「カナリア」の役と「ストロベリーフィールズ」のマキは、不良少女という点では共通するが、根本的に全く違う。だが、谷村なら、絶対にマキを演じられる!と思えアプローチ。
次に決まったが、夏美役の佐津川愛美。実際に会って感じるものがあった。繊細だが芯が強く、感性も鋭い。より彼女の魅力を引き出すために、夏美のキャラを書き直したほど。
理沙役の芳賀優里亜。テーブルの上でプロフィールの写真が光を発していた。手に取ると、そこに理沙がいた。
芳賀が面接でドアを開けて入って来た瞬間、「この子だ!」と思えた。
さて、主人公となる4人娘の最後の1人が、美香役である・・・・。学級委員で、成績がよくて、まじめで、リーダーシップがあって・・。
でも、まじめ過ぎて友達が少なく、嫌がられることが多い。そんなキャラクター。
他の3人ほど型破りではないので、簡単にキャスティングができると思ったのだが、意外に難航した・・・。
いろいろと考えて、和歌山県出身の俳優にできないか?という話になる。できれば田辺出身者がベスト。それによって地元感が出せるはず・・・。
(つづく)
*クランクインまで、あと13日!*
最後のいちご娘を探せ!(1)/キャスティング 2005/9/4 [第十二章 美香を探せ!篇]
キャスティングは、いろんな意味で重要。人気俳優であることも大切なことだが、演技力がなければドラマを盛り上げることはできない。
「お葬式」「タンポポ」「マルサの女」の名匠・伊丹十三監督は云う。
「キャスティングで、映画が成功するかどうか?の半分は決まる」
アカデミー作品賞を撮った「フレンチコネクション」の大監督ウイリアム・フリードキンは「エクソシスト」の神父役を探す際にこう云った・・。
「神父を演じられる俳優を探すのではなく、演技ができる神父を探せ!」
つまり、どんな名演技も本物には勝てないということ。ドキュメンタリー出身の監督だけあって、本物の凄さをよく知っているのだろう。
僕もその意見には賛成。「ストロベリーフィールズ」の美香役も、そんな観点を大切にしたい・・・。
(つづく)
*クランクインまで、あと13日!*
メインスタッフ大阪へ! 2005/9/4 [第十二章 美香を探せ!篇]
映画「ストロベリーフィールズ」メインロケハン終了。僕とスタッフは、田辺をあとにする。
車数台に分乗して、高速道路を北へ! 大阪に向う。
まず、学級委員の美香役のオーディション。
それを終えてから、マキ役の天才少女・谷村美月と会う。
その後、東京へ移動。いちご四人娘以外の役を、決めて行かねばならない。
クランクインは9月17日に決定している。
あと、13日しかない。
それまでにキャスティングのみならず、他、様々なことを決め、準備し、撮影に備えなければならない。
さらなる過酷な日々が始まる!
まずは、大阪での美香役オーディション。場所は西梅田である。
<つづく>
*クランクインまで、あと13日!*