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第十三章 谷村美月と初対面篇 ブログトップ
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天才少女・谷村美月(16)もの凄い理解力! 2005/9/4 [第十三章 谷村美月と初対面篇]

 佐津川愛美に会ったとき、「ああ夏美だ!」と思えた。 

 同じ資質を持っている。佐津川なら演じられる。もちろん、演技力とかいう問題もあるが、彼女は全部OKで決まった。

 その時点で初めて「ああ、夏美ってああいうタイプなのか・・」という関係者もいた。そんな場合でも・・・。

 「いや、違うよ〜。夏美はあんな感じじゃないんだよなあ・・」

 とかいいだす関係者もいる。ただ、分かってないだけなのだが、そのくらいに各自のイメージは異なる。基本となる監督のイメージを掴み、キャラを想像することでスタッフは苦労する。

 なのに、谷村家では、連絡もしていないのに、佐津川愛美をいい当てていた。天才どころか、超能力者だ・・・。
 でも、これは第六感とか、予知能力ではなく、いかに夏美というキャラを把握してくれていたか?ということに尽きる。

 佐津川の名前が出て、即納得した谷村。僕の創造した夏美イメージを、完全に理解しているということ。ということは自身が演じるマキのキャラも、正確に把握しているはずだ。

 長年、共に仕事をしてきたスタッフでも、その辺を理解するのは難しい。僕の趣味やパターンを考えつつ把握する。

 なのに、一度も会ったことのない谷村が、シナリオを読んだだけで、夏美像を理解。演じる女優まで当てていたのは、驚愕すべきこと。

 役柄だけでなく、谷村はドラマの細部まで、理解している可能性が強い。僕があれこれ言わなくても、「ストロベリー」ワールドを理解し、マキを見事に演じてくれるのではないか? 

撮影が楽しみである・・・。

<つづく>

*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと13日!


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天才少女・谷村美月(15)すごさの説明 2005/9/4 [第十三章 谷村美月と初対面篇]

 凄いことは簡単に分かってもらえる話。だが、理屈づけて話すのはもの凄く難しい・・・。

 まず、夏美というキャラは、僕が映画「ストロベリーフィールズ」のために創造した17才の女子高生で、ヒロイン。

 候補者選びのとき、よくあること。同じシナリオを読んでいるのに、スタッフのAさんは「この子が夏美にピッタリ」と上げる女優と、Bさんが「いや、この子しかない」と上げる女優は全くタイプが違う。

 僕に言わせると、2人ともダメ!ということが多かったりする。

 これは各自が持つ夏美イメージが違うからだ。ベストセラーを映画化するとき、原作者と、脚本家と、監督の思うヒロイン像が、それぞれに違うことが多い。

 基本的には原作者が描いたものが本来正しいはずだが、監督が脚色し、イメージを変えて映画にする場合もある。

 だが、今回は誰が何というおうと、原作も、脚本も、監督も、僕である。僕が創造した夏美なのだから、誰が何というおうと、僕が「夏美だ!」と思えば、夏美なのだ。

 ただ、そのイメージを伝えるのはもの凄く難しい。言葉を費やしても理解してもらうのは大変。
 一番、分かり易いのは女優でいうと****という言い方だ・・。

<つづく>

*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと13日!


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天才少女・谷村美月(14)夏美のイメージ 2005/9/4 [第十三章 谷村美月と初対面篇]

  谷村は話を続ける。

 「それでお母さんに、夏美ってどんな子なのかなあ? と聞いてみたんです。そうしたら・・・・(佐津川)愛美ちゃん、みたいな子じゃないの? 

 と、言われたんです。ああ、なるほど愛美ちゃんか・・・と思えて、夏美のことが理解できたんです!」

 凄い。凄過ぎる!  

 まさに、その佐津川愛美が夏美役に決まる。親子の会話より後のことである。候補に上がっているという話さえ、伝えていない段階のことだ!

 いや、もっと言えば、その話を谷村がしている段階でも、佐津川が決定したことはまだ伝えていない・・。驚愕・・・。

 実は、谷村美月と佐津川愛美は、すでに共演している。テレビドラマ「本当にあった怖い話」の1エピソード。
 そして、まだ公開されていないが、別の映画でも2人は仕事をしている。

 だから、お母さんも佐津川の名前を上げたのだろう。が、それにしても、もの凄く鋭い! この天才少女にして、この母あり。

 それを聞いた谷村も、「ああ、なるほど!」と理解してしまうのも凄い! いかに凄いことか? 説明する。

<つづく>

*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと13日!


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天才少女・谷村美月(13)リアルな人物像 2005/9/4 [第十三章 谷村美月と初対面篇]

 シナリオに書かれてある文章だけから、リアルな人物像を想像することはむずかしい。小説と違い、性格や服装、背景、趣味なども詳しくは記述されていないからだ。

 もし、夏美役を演じる俳優が誰なのか? 俳優名が分かっていれば、かなりなヒントになり、役を理解する手がかりになっただろう。

 が、谷村には一番最初に出演依頼をしたので、「ストロベリーフィールズ」のシナリオを送ったときには、他は誰が演じるか? まだ一人も決まってなかった。

 そんな段階で谷村はシナリオを読み、夏美はどういう子なのか? 考えていたのである・・。

 話は続く・・・。

<つづく>

 


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天才少女・谷村美月(12)夏美ってどういう子?  2005/9/4 [第十三章 谷村美月と初対面篇]

 シャイな文学少女・谷村美月も、少しずつ言葉が増えて来る。

 特に「ストロベリーフィールズ」のキャラクターの話なってからは、いろいろと話してくれた。

 「マキはまだ・・・分かるんですけど、夏美って・・どういう子かよく分からないですよ・・」

 やるな・・谷村! 自分が演じるマキ役だけではなく。相手役まで考えているのか・・・。

 俳優はプロでも、自分の役のことしか考えない人が多い。なのに、大した15歳。

 でも、とても大切なこと。人は同じ言葉でも相手によって言い方が変わる。或いは、同じ言葉でも言う人によって意味が変わる。

 相手役のキャラや性格を把握しなければ、自分が言うセリフのニアンスや調子が決められないのである。

 大人の俳優でもよく「このセリフは、どんなふうに言おうかなあ?」とか発言することがある。

 が、相手のキャラが分かれば、自然に言い方は決まってくるもの。セリフのいいまわしの前に、相手役を把握することが大切。

 なのに、わずか15才。中学生の谷村は、その点も理解していた! 恐るべきは天才少女。次のセリフにも、またまた驚愕する・・。

<つづく>

*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと13日!


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天才少女・谷村美月(11)朝起きてから寝るまで 2005/9/4 [第十三章 谷村美月と初対面篇]

 ある雑誌のインタビュー。谷村美月はこう話している。

 「朝起きてから寝るまで、ずっと演技のことを考えています!」

 僕が若い俳優たちにいつも言っているのと同じセリフだ。実践できた子はいない。なのに谷村は、誰にも言われずやっていた・・。

 もしかしたら、ノリで言ったかも? とも考える。確かめたかった。

 谷村と会う。軽いノリで、ジョークを言う子ではない。さらには学校で友達を見て、マキのキャラを考えていると発言・・・。

 質問に対しても、時間をかけて考える。言葉を探しながら答えた。本当に起きている間中、役のことを考えるような子だ。

 多分、通学途中でも、休み時間でも、帰り道でも、家に帰っても、今回の「ストロベリーフィールズ」のシナリオを読み返し、台詞のひとつひとつの意味を考え続けているだろう。

 「どんなふうに、セリフを読めばいいのか?」

 「マキはどんな気持ちで、この言葉を言ってるのか?」 

 何度も何度も考えているだろう・・。

 同じ年齢のアイドル・タレントが前の日に、あわてて台詞を暗記しようとするのとは違って延々と考える・・・。 

 しかし、感心するのはまだ早かった・・・。

 次の、谷村発言にも、また驚愕させられる・・。

 (つづく)

*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと13日!


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天才少女・谷村美月(10)考えること、悩むこと 2005/9/4 [第十三章 谷村美月と初対面篇]

 彼の芝居を見に行ったが、1か月間考え抜いた芝居とは思えない。

 聞いてみる。考え続けたのではなく、悩んでいただけだった。

 「どうしよう? このままじゃアカン・・・役がつかめへん・・・」

 そういう状態が続いていただけだった。それでも彼は偉い。考え続けようとしたのだ。

 それに比べて僕が知るほとんどの若い役者は、セリフを覚えるだけで精一杯。テレビドラマで活躍している若手たちでも、そのレベルが多い。本番直前にこんな話。

 「昨日、飲み過ぎちゃってさあ〜」

 「ねえねえ、おいしいラーメン屋。を見つけたよう〜!」

 思わず、「まわり蹴りじゃあ!」・・・と思う。

 どんなに、スタッフが努力しても、俳優がそれでは絶対に素晴らしい作品はできない。何年もそう考えていた。

 そんなある日、映画「カナリア」を見る。

 谷村美月という少女にもの凄い感銘を受けた。この子は違う! ある雑誌でインタビューを読む。思った通りの子で、微笑んでしまった。

 谷村は、こう話す・・・・・。

(つづく)

*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと13日!


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天才少女・谷村美月(9)松田優作と勝新太郎 2005/9/4 [第十三章 谷村美月と初対面篇]

 俳優も同じだ。

 松田優作は自宅でもおもちゃの拳銃を、ずっといじり続けていたという。

 どんな風に銃を持ち、どんな風に打てばカッコいいか? 映像で映えるか? それをプライベートな時間も考え続けていた。

 勝新太郎は浮気がバレて奥さんを激怒させたとき、「その顔だ。それが本当に怒ったときの顔だ。よく覚えておけ」と女優である妻に言ったという。


 本物は皆、どんなときでも考え続けている。芝居のことばかり考えているのだ。

 どこの世界でも、考え続けた者が大きな業績を残す。若い俳優たちにいつもこう言う。

 「時間ある限り、演技のことを考え続けろ!」

 が、若い俳優たちはレッスンや稽古が終わると、サラリーマンのアフタ−5心理になってしまう。

 以前、1人だけ、挑戦した奴がいる。舞台が決まったときから、ひたすら役作りを考え続けた・・・。

(つづく)

*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと13日!


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天才少女・谷村美月(8)天才は考え続ける 2005/9/4 [第十三章 谷村美月と初対面篇]

 「考えることが、それほど大切か?」と思う人がいるかもしれない。才能があればできるんじゃないの?と感じるかもしれない。

 だが、巨匠と呼ばれる人は驚くくらいに考え続けている。宮崎駿しかり、手塚治虫しかり、黒澤明しかり。

 彼らが残した伝説のほとんどは、作品のことを尋常じゃないくらいに考え、努力し続けたものの集大成というものばかりだ。

 芸術分野だけではない。ミスタージャイアンツ・長島茂雄も同じ。

 試合を見に行ったとき、巨人が負けた。その敗因を考えていて、連れて行った息子を球場に置いたまま自宅まで帰ったという有名なエピソードもある。

 野球のことしか考えない。何を話しても野球に例える。それがミスターであり、だからミスターと呼ばれる。黒澤明や手塚治虫の逸話に共通するものがある。

 「プロジェクトX」で取り上げられる勝ち組の人たちも、寝食を忘れて開発に挑んだ結果。素晴らしい製品を作り上げたのだ。

 考え続け、答えを探し続けた者が結果を残す。

 俳優も同じ。だが、それを理解する者は少ない・・・。

 (つづく)

*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと13日!


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天才少女・谷村美月(7)考え続けろ! 2005/9/4 [第十三章 谷村美月と初対面篇]

 20代、30代の若手俳優でも、10代の学生俳優と同じような側面がある。

 公演が迫った追い込みの稽古なのに、休憩時間に世間話をしている。他の現場ではOKでも太田組では許されない。

 「おまえら学生か! 休憩時間は反省時間。次の演技を考える時間だ! 俳優なら寝ているとき以外は、演技のことを考え続けろ!」

 僕はいつもそう言う。芝居というのは稽古場に来てから考えるものではない。同じ台詞でも何百通りもの表現の仕方があるのだ。

 自分が考える以外にも、もっと相応しいいい方はないか? この台詞が書かれた意味というのは何か? 

 さらに、そこに自分の人生や経験をどう投影するか?と、芝居をするには、とにかく考え続けないと答えが見つからないない。

 なのに、若手の中には「芝居」を「授業」と同じ風に考えて、稽古場に来る者も多い・・・・。

(つづく)

*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと13日!


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