死神役オーディション(10)本物の俳優! 2005/9/5 [第十五章 死神を探せ!篇]
その演技は、完全ではなかった。
が、それは理解できた。それも100%でないのに、伝わった。だから、迷う事なく「違う」と思った。
「あのシーンかな? それならいいけど、このシーンなら少し違う」
という印象ではない。間違いなくあのシーンだ! と全く疑うことなく伝わっていた。
その上、彼自身もその演技が完全でないことを察知して、自身で再チャレンジ。
そして、次には文句の付け用のない表現を見せたのである。
この世界。本当に凄い人がいる!
どれだけ説明して、コミニュケーションをして、何度も仕事をしても、本当に意図を理解できない人も多い。が、ものの数分で、全てを理解する人もいる。
三船美佳さんもそうだった。
長年の親友にでも伝わらないことが多いのに、自分が求めるものを数分で理解し、表現してくれる。
そんな、ずば抜けた本物の人々がいてこそ、本当に素晴らしい作品ができるのである。
その死神候補の俳優さんにも、そんな資質を感じた・・。
<つづく>
*映画「ストロベリーフィールズ」クランクインまで、あと12日!