「パッチギ」の青年!(Ⅱ) 2005/8 [第四章 鉄男を探せ!編1]
何より、「パッチギ!」自体が「ストロベリーフィールズ」と同じ昭和40年代が舞台。なのに出てくる不良たちが皆、イキイキしていたのが印象的。
よく、今の時代にこんな子たちを集めたよなあ!と思えた。が、そのことを完全に忘れていた。そこに目を付けるとは、さすがOさん!(大阪・平野区出身!)
でも、その俳優を「鉄男」というイメージでは見ていなかったので、さっそくビデオを借りて見直す。
ピッタリだった!
というより、鉄男の高校時代の物語だと思える。プロフィールを見ると、出身も「大阪府」!さらに書類の空き部分に手書きで、「関西出身です!」と書かれていた。
映画で大阪弁のうまさも確認している。さらに「特技」の欄には「キックボクシング」とある。出演映画は「不良少年の夢」!
嬉しくなる・・。
名前は「波岡一喜」。さっそく事務所に電話した!
<つづく>
「パッチギ!」の青年 2005/8 [第四章 鉄男を探せ!編1]
「ストロベリーフィールズ」シナリオの評判。とてもいい!
俳優事務所から「**の役をやらせてほしい!」という希望が多数来ている。プロフィールも山のように送られて来た。
鉄男役を希望する人たちもかなりの数。だが、なかなか、イメージに合う俳優はいない。 そんなとき、ライン・プロデュサーの小川さんが言う。
「監督・・・お勧めが、あるんですよ!」
彼は驚くくらいに「ストロベリーフィールズ」の世界感を理解してくれている。
「松葉杖をつく春美のキャラの背後に、岸田森を感じるんです…」とか、役のルーツまで言い当ててしまう人。そんなOさんは続ける。
「井筒和幸監督の『パッチギ!』って見てますか? あれに出ていた俳優で鉄男にピッタリのがいるんですよ」
見ていない訳はない。今年のベストムービーの1本!で、お勧めは主人公の友達役で、青い腹巻きをした不良。
前田吟さん演じるオヤジの息子役。覚えている。いい感じだった!
(つづく)
鉄男を探せ!Ⅱ /2005/8 [第四章 鉄男を探せ!編1]
今の若手俳優はカッコいいが、おとなしく、おっとりとしていて、喧嘩っ早さや闘争的なものはない。
おまけに鉄男は大阪に長くいたという設定。関西弁が出来ることが絶対条件!
当初、マキ役を探したときも、戦後の少年のようにギラギラしたものを持つ女優がいなくて苦労した。
ラッキーにも谷村美月という天才少女と出会えたが、今回はどうか?
平和な現代に、昭和40年代の大阪で育ったような、やんちゃな青年を探すのは簡単なことではない・・・。
<つづく>
鉄男を探せ! /2005/8 [第四章 鉄男を探せ!編1]
「ストロベリーフィールズ」のキャスティングは、どれも難しく苦労している。
鉄男役も大変。設定は年齢25才。元・不良。今も当時の仲間や後輩の不良たちから慕われ、兄貴分的存在。
理沙の父の会社で仕事をしていたが、すぐにクビになる。現在は寺で修行しながら手伝いをしている。
マキの父とは親しいので、マキが子供のころからよく面倒を見ている。
夏美の姉・春美とは同級生。つまり、物語の中では夏美とマキや理沙をつなぐ重要な役なのである。
さて、そんな鉄男のキャラ。実は漫画「じゃりん子チエ」からヒントを得ている。
主人公チエちゃんのオヤジの鉄が、若かった頃のイメージが鉄男なのだ。喧嘩っ早いが、憎めない愛すべき大阪の兄ちゃん。
それと勝新太郎が主演した「悪名」シリーズで、田宮二郎が演じた清次。カッコいいがお調子者で、油断のならない2枚目半のキャラもベースにある。
だが、そんな役柄を演じられる俳優が、21世紀の日本にいるだろうか?
(つづく)