悪魔の選択(9)妥協 2005・9・22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
しかし、そんな手を使わなければ、撮影を予定通り終了させることはできない。
となると、監督である僕がある程度の妥協をして、
映画のレベルが下がっても、
いくつかのシーンを早く撮るという選択。
せねばならない・・・・。
或いは、今撮影しているシーンを急いで撮影。
完全に暗く前までに撮影を終了するか?
どちらかなのだ・・・。
(つづく)
時間よ止まれ!(6)路地で・・ 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
続・監督の決断(15ー終)OK! 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
もちろん、第二、第三のクライマックス。
このシーンより盛り上がらないと大変だ。
それでも、この物語の中で、この撮影の中で、佐津川愛美も、谷村美月も、役として、本人として成長。
かならず、違った展開を見せてくれるはずだ。
よし! このシーンは号泣で行く!
「カッーーーーーーーート! 今のところ。OK!」
(つづく)
続・監督の決断(14)十代の涙を大切にしたい! 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
続・監督の決断(13)十代を信じること 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
続・監督の決断(12)自分はどうだ? 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
しかし、僕もすでに40代。
「気が若い」とはよく言われるが、
実際は時代錯誤のおじさんたちと、同じ世代。
おじさんPらと同じように
古いフィルターで、10代を見ているかもしれない。
事実を誇張して伝えるマスコミ報道に毒されて、
感性のフィルターが曇っているかもしれない・・・。
(つづく)
続・監督の決断(11)40代の否定=10代の支持? 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
でも、おじさんPは自身が青春時代に感動した作品。今の若い人も感動すると考えたのだ。
悲しいかな。それは勘違い。
「今の若者はこんなもんでは、感動できない!」
そう僕には言いながら、30年前の青春ものを作ってしまう。悲しいことだ。
僕が十代のときに見た時代錯誤の青春映画も、
こういう構図で作られていたのだろう。
としたら、40代のおじさん、ほぼ全てが否定した「ストロベリーフィールズ」は逆に若い人に支持されるかも?
実際に10代、20代の女の子にはシナリオの評版がよかった。
しかし、考えねばならない・・・と、ここで話を戻す。
(つづく)
続・監督の決断(10)時代錯誤 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
その後、僕のシナリオを酷評したP。青春映画を作った。
「これが今の若者が感動する。青春映画だ!」
そう言っていたが、中身は今から30年以上も前に放送されていた「青春もの」そのままだった。
つまり、そのおじさんPが若い頃に見ていたドラマを、もう一度作り直したのである。
おじさんにとっては「懐かしさ」がある「感動的な話」だ。
が、当時のドラマで、今の子は感動できない。
劇場はガラガラ。話題にもならなかった・・。
「時代錯誤、はななだしい・・何考えてるんだ?」
見た人は皆、首を捻った・・。
(つづく)
続・監督の決断(9)マスコミ報道を鵜呑み 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
おじさんPの言う「ワイドショー」や「週刊誌」。
事実を脚色し、誇張するのが得意技。
センセーショナルに書き立てることで、興味を煽り、売り上げを伸ばしている。
映画の宣伝でも、同じ手を使う。
詰まらない映画を「感動の名作」といってPR。
なのに、おじさんP。そんなマスコミ手法に乗せられている。
女子高校生のほとんどが、ワイドショーや週刊誌で報道されるような過激な子と思っている。
経験も知恵もあるおじさんたち。
マスコミ報道を鵜呑みにしていた・・。
(詳しい話は以前にも=>http://t-ota.blog.so-net.ne.jp/2009-03-22-1)
(つづく)
続・監督の決断(8)おじさんの発想 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
おじさんPは、答える
「今どきの十代がどんなかなんて、分かるよ!
ワイドショーでも援助交際とか言っているし、雑誌でも今どきの若者は物質主義だと書いてある。
電車に乗っても、髪を茶色に染めて、ピアスをはめ、化粧の濃い頭の悪そうな子をよく見るよ
今の十代はそんなもんだよ。交流がなくても分かるさ!」
なるほど。分かって来た・・・。
(つづく)
続・監督の決断(7)おじさんPへの質問 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
おじさんPに、質問を続けた。
ーー最近、十代の女性との付き合いってありますか?
援助交際しているとかではなく、娘が十代とか? 学校で十代に教えているとか?
「そんなものはないよ! うちの息子はまだ小学生だし、俺は仕事で忙しい。十代と接する機会なんて、ある訳ないだろう?」
だとしたら、変だ・・。十代と交流がないおじさんが、なぜ・・・
「このシナリオでは、今どきの若者は感動しない!」
そう言い切れるのか?
十代の「考え方」や「志向」を知るチャンスがない訳だから、
そんな意見が言えるはずがない。突っ込んでみた・・。
(つづく)
続・監督の決断(6)おじさんの定義 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
考えてみた。
ある人がシナリオを読んだ場合、
「感動的な物語なのに感動できない=>中身を把握できてない」
この定義、成り立つ。でも・・。
「ダメな物語。理解できない=>だから、感動した」
この定義は成り立たないだろう。おじさんPにそう説明したら・・。
「そんなことは知らない。とにかく、こんなシナリオではダメだ」
おじさんたちは、絶対的に自分が正しいと思い込んでいるようだ・・。
(つづく)
続・監督の決断(5)矛盾する感想 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
おじさんたち。言う。
「俺は長年P(プロデュサー)をやっている。シナリオを何百冊も読んで来た。
読み方も分かっている。その経験に基づいて、言ってるんだ。
若い奴は読む力がないんだ。中身を把握してないだけだよ。だから、安易に感動したなんて言うんだ。
そんな言葉で喜んじゃダメだ!」
しかし、そのPの指摘おかしい。
もし、若い子たちがシナリオの中身を把握できていなければ、
感動したり、泣いたりはできないだろう・・。
(つづく)
続・監督の決断(4)おじさんの感想 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
映画会社でP(プロデュサー)をするおじさんたち。僕のシナリオを読んでこう言う。
「今どきの、十代はこんなじゃない!」
「こんな物語に今どきの若者は、絶対に感動しない!」
はあ?
そんなP(プロデュサー)たちに聞いた。
ーー十代、二十代の女の子には「泣けた!」と、好評だったんですけど?
「若い奴らはシナリオを読む力がないんだ! ちゃんと中身を把握してないんだよ!」
(つづく)
続・監督の決断(3)十代の感想 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
書き上がったシナリオを10代、20代の女の子に読ませた。
「感動しました。私も夏美です・・」
「泣きました・・・何で、監督は女の子の気持ちが分かるんですか?」
そういう感想が多かった。
いや、もしかしたら僕が書いたということで、気を使っている可能性がある。
「友人のライターが書いたシナリオだけど・・」
と言って読ませる。でも、感想は同じだった。
やはり、10代20代の女の子たちから、長期間取材して書いたのが正解だった。
「これは行ける!」と思って、映画会社や製作会社に持ち込む。
しかし、40代以上のおじさんたちの感想。こうだった・・。
(つづく)
続・監督の決断(2)十代を取材 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
以前にも書いたが、
今回「ストロベリーフィールズ」のシナリオを書くに当たって十代、二十代に取材した。
というのも、僕もすでに30代。
若いと思っても、今どきの子たちとはギャップがある。
自分が思うままの十代を書くと、自身の十代をベースに書いてしまう。
それでは80年代に僕が見た、ダメな日本映画と同じになるかもしれない・・。
幸いなことに、身のまわりに十代、二十代の女の子がたくさんいた。
演劇学校で教えていたこともあり、
劇団や俳優の卵との付き合いもあって、いろんな形で話を聞いた・・。
(つづく)
続・監督の決断(1)僕が十代の頃 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
監督の決断(10)十代の解釈 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
監督の決断(9)選択ではない 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
監督の決断(8)マキの解釈 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
監督の決断(7)夏美の解釈 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
監督の決断(6)十代の感性 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
監督の決断(5)撮り直し 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
「そこまで泣かなくていいから。涙ぐむだけでいいんだよ」
と2人に言って、撮影し直すか?
それが本来の形である。
監督がイメージしたものを、忠実に撮るのが映画というもの。
しかし、それでいいのか・・?
理屈の上ではそうだが、「違う」という自分がいる。
大人の論理で計っていないか?
映画界の古い理屈に縛られていないか?自問自答した・・。
(つづく)
監督の決断(4)観客の気持ち 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
監督の決断(3)野球の試合 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
監督の決断(2)ホームラン 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
監督の決断(1)全体を考える 2005/9/22 [撮影6日目(十二)美香との別れ6]
佐津川愛美と谷村美月の演技。
もう、これが最後のクライマックスかのようだ。
全身全霊で泣いていた。
しかし、全体を見渡して演出するべきが監督。
その監督である僕は感動しながらも、考えるべきことがある・・。
クライマックスの二回目。三回目はどうすべきか?
1回目の「悲しみの表現」が凄いだけに、それを超える「悲しみ」を表現できるのだろうか?
(つづく)