「昨年から、体の調子がよくない・・・」
そう感じた小西博之さんは、病院で検査を受ける。
病名は「肝臓ガン」。大きな手術を受けねばならない状態だった・・。
手術は2月。その直前、小西さんは故郷・田辺に戻った。
でも、手術のことは誰にも告げていない。
家族と会い、友人と語らった・・。
そして、懐かしい風景の中を歩き考えた。
「ああ、もう、二度とこの景色を見ることもないのかもしれん。これが最後かもしれん・・」
そう思ったが結局、誰にも言わずに東京に帰った。
故郷の人々のこと。青春時代を過ごした町のこと。それらを胸に。
手術を受けたのである・・。
(つづく)