日本の美しさⅠ 2003年7月中旬 [第6章 和歌山営業篇]
理解者と出会えたことで、希望が出て来た。その後も何人かとお話した。そんな中のお一人。あるご老人はこんな話をしてくれた。
「この町はホンマに何もない町なんです。監督さん。こんな町で何を撮ろうというんですか?」
そういう人は多かった。何もない町だとほとんどの人が言う。でも、それは違う。
ここには今も変わらぬ、昭和40年代の風景がある。日本人の誰もが懐かしいと思う景色がある。
山と海。青い空。大きな川、たんぼ。伝統ある有名なお寺とか、絶景の観光地はないけど、どれも優しく心に染みる風景。忘れていた何かを思い出させてくれる。
その貴重さをアメリカで生活して知った。ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、フロリダ、ハワイ。いくつもの町を旅した。
でも、そこで気付いたのは、アメリカのどこにも日本の田舎のような風景がないこと。それらは決して外国の観光地に負けない、素晴らしいものであることを自覚した。
日本の地方。そこには欧米にはない「美しさ」があることを知る。それはわが故郷にもたくさあることを思い出したのだ・・。(つづく)
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