でも、手抜き撮影は嫌だ! /2003年9月10日Ⅵ [第7章 東京・死闘篇]
手抜き撮影にはこんな手もある。
必要のない風景シーンを長めに入れて、尺を稼ぐ。抽象的なイメージシーンを入れる。そこにあとでナレーションを入れるのである。もっともらしく見え、手抜きと感じにくい。
そうすれば30分もののドラマでも、実質20分くらいで済む。いろいろと手を抜く方法があると言われた。そして一番大切なのは、絶対にギャラ以上の労力は使わないことだという。
自腹で製作費を立て替えたりはしない。どんなに現場が盛り上がっていても、会社からの製作費が滞れば、その場で撮影をストップさせる。
ただ、それをすると、もう現場は同じレベルに盛り上がらない。別日に撮影を再開しても作品クオリティは下がる。
僕はそれが嫌だった! せっかく、盛り上がった現場は大切にしたい。勢いは大事なんだ。だから、サラ金から借りて撮影を続行してしまう。
どんな低予算でも、時間がなくても粘りたい。少しでもいいものを作りたい。なのに、制作会社は「作品」や「スタッフ努力」を踏みつけることを続けた・・。
(つづく)