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撮影スケジュール/伊丹十三監督の場合 2005/9 [第二四章 撮影スケジュール]

 話が少し逸れたので戻す。スケジュールに関して、有名監督たちの逸話を紹介する。

 伊丹十三監督の「マルサの女」では、ユニークなスケジュールが立てられた。

 初日から雨のシーン。

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 雨といっても、本物の雨を待つ訳ではない。大量の水を用意して、それを何本ものホースを使って人工的に雨を振らすのだ。

 さらに、雨が雨に見えるようにするには、カメラとライトのコンビネーションが大切。

 ビデオならば細かい雨でも写るのだが、映画用のフィルムだとかなり大粒の雨でないと雨に見えない。

 さらに制作部はスタッフ用のレインコートを用意。びしょぬれになる俳優も大変。

 そんなシーンを初日から撮影するのはかなり厳しい。

 でも、スタッフ全員でかからねばならないシーンから撮影することで、早い段階で団結力を作り上げようというのが目的だったらしい。

 苦しい状況を皆で切り抜けることで、チームワークが生まれる。

 そんな心理も考え抜いて、スケジュールは組まれる。

(つづく)
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