そのおじさん。悩んだ・・。
「俺は小説家にはなれなかった・・努力が足りなかったのか・・」
それでは苦しい、努力不足なら責任は自分にある。
やがて、こう考えるようになった。
「違う。自分の努力が足りなかったのではない。
世の中、厳しいからなれなかったのだ。現実は甘くないから、小説家になれなかったのだ。
いや、そもそも、小説家になろうなんて夢見ること自体が、世間知らずだったのだ。
青二才だったのだ。俺は現実に気づいたんだ・・」
そう考えれば、自分は敗北者ではなくなる。
「これが成長し、現実を直視する、大人になるということ・・」
彼はそう思うようになった・・。
(つづく)